2009年 第55回 江戸川乱歩賞 
 ぷりずん・とりっく
プリズン・トリック(「三十九条の過失」を改題)

受賞者:遠藤武文(えんどうたけふみ)
ISBN1

選評者 : 内田康夫 大沢在昌 恩田陸 天童荒太 東野圭吾 (選評者の氏名をクリックすると、それぞれの選評が表示されます。)
選考委員: 内田康夫 大沢在昌 恩田陸 天童荒太 東野圭吾 
予選委員: 石井千湖 佳多山大地 香山二三郎 末國善己 杉江松恋 細谷正充 吉野仁 
選考経過:  

受賞の言葉
 「空想で作文して、投稿し、その上賞金をもらうなんて、なかなかできることじゃない」
 ちょっと胸を張った。
 「よほどの変わり者じゃなきゃ、できることじゃない」
 え?
 「常々、常識を知らねえ変わり者だとは思っていたが、まさか、そこまでの変わり者だとは思わなかった」
 ちょっとへこんだ。
 私の周りには立派な人たちが大勢いる。
 酔って火の見櫓に登って大騒ぎをし、引きずり降ろそうとした警官の頭に小便した人。朝、バスに乗り遅れそうになり、服を小脇に抱え、裸のままバスに飛び乗った人。バーで脱糞し、顔を出せなくなった人。インターネットは五台持っているが、パソコンはまだ持っていないと言って、機械音痴の人たちから尊敬されている人。等々。
 私はこれ等の立派な人たちに、常識とやらを教えられている。お返しに、いつか彼らを作中に登場させたいと目論んでいる。
 ただ心配なのは、世間の声が彼らの耳に入ったときのことだ。きっと彼らは、住みにくい国になったと言って嘆くだろう。昔の人間には真心や思いやりがあったと言うだろう。
 杞憂に過ぎないと思いなおした。彼らが登場する小説は、騒々しくって、読み通すことのできる人がいないに違いない。ひとりずつ登場させれば大丈夫か?


作家略歴
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業
第55回江戸川乱歩賞受賞

代表作:「プリズン・トリック」

趣味・特技等:愛車での独り旅、競馬予想


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